November 26th, 2020
現在ホログラムと呼ばれているものの大多数は厳密にはホログラムではなく、疑似ホログラムと呼ばれるものである…という話がある。今回はホログラム及び疑似ホログラムといった、「通常の液晶ではない映像技術」について紹介する。ホログラムはまだ実現が困難であるため、後述するペッパーズゴーストやスクリーン投影等で再現をしている。今回はその概要と利用事例を紹介する。
透明な板を一定角度の傾きで設置すると、透明な板に映像が投影されていることを利用する技術。透明な板と液晶があれば個人でも作成できてしまうため、制作コストの低さが特徴。
スマートフォンでペッパーズゴーストを行った例。下に液晶を置くことで四方向から見ることができ、疑似ホログラムに見える。
段ボールでペッパーズゴーストを行った例。
Unityで通信を行い携帯にトラッキング結果を送信すればリアルタイムでトラッキング結果をペッパーズゴーストで映すことも可能(要検証)。今回は3時間くらいの作業で段ボールで作っちゃったからあれだけど、きちんと黒い素材できっちり作れば未来ありそうだなってなんとなく感じた。
— saldra (@sald_ra) September 10, 2020
VUPで録画した動画をスマホサイズに落とし込む方法でやったけど、理論上は動画じゃなくてもできる。
モデル提供(@ZO_NI_san
) pic.twitter.com/bEny3QaqBE
「再帰性反射材」という光を同じ方向に返す板を利用する方法。ペッパーズゴーストはあくまでも板に映っていたが、空中に映像が浮かんでいるようにみえるのが特徴。またこれも個人で買える材料で制作でき、コストも低い。また大多数のライブで使われている手法でもある。
DIVE XR FESTIVALにてstudioTEDの「Eyeliner®」が用いられている。この技術は再帰性反射材とハーフミラーを用いたものと思われる。
半透明スクリーンの後ろ側からプロジェクターで投影することで映像投影の部分のみ色がつき、まるで映像が浮かんでいるように見える手法。投影光の方向を変えることができる。主に初音ミクのライブで使われている。
ディスプレイに内蔵されたカメラでユーザーの顔を認識、目の位置を推定しその角度によって表示内容を変化させることで立体視を実現した例。50万円。
ライブにおけるホログラフィ技術はある程度の完成を見せた。遠目から見る分には極端な立体視は必要なく、現在のリアプロジェクションによる"3Dっぽさ"が実現されていれば問題がない。その一方で近場で回り込める状況下でのホログラフィは未だに実現されておらず、様々な研究が行われているが実用の域を出ない。現実で非現実な立体的描写をするという点で、透過ディスプレイを用いたMRグラスとの競合になるのではないかと予想している。